これで不支給?! キャリアアップ助成金(正社員化コース)その8 生涯設計手当
今回は、正社員転換後、基本給の一部が生涯設計手当として支給されている場合、
賃金3%要件の計算方法の落とし穴について説明します。
1.概要
キャリアアップ助成金申請事業主では、有期契約社員の間、基本給 200,000円を支給し、正社員化後、生涯設計手当55,000円(うち掛金運用額20,000円)を下記のように支給して、支給申請した。
有期契約社員の間
基本給 200,000円
正社員化後
基本給 165,000円 生涯設計手当55,000円(うち掛金運用額20,000円)
生涯設計手当は、給与所得として、課税対象となっており、所得悦、住民税がかかるほか、社会保険料の標準報酬の算定に含まれ、かつ、雇用保険法上でも賃金として取り扱われている。ただし、昇給額、残業代、賞与及び退職金等の算出基礎額にはならない。
とします。
昇給額、残業代、賞与及び退職金等の算出基礎額にはならないと、生涯設計手当は参入ができません。
正社員化後 基本給165,000円のみで、3%アップしていないとされて不支給です。
2.不支給根拠
「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース以外)Q&A」~令和3年4月1日版~
P24 ④3%以上増額要件(Dその他の手当)
Q-1 正社員転換後、基本給の一部が生涯設計手当として支給されており、うち一部を企業型確定拠出年金へ運用している場合、賃金3%要件の計算方法如何。
【転換前】基本給 ⇒ 【転換後】基本給 生涯設計手当(掛金運用額)
本来は退職後に受け取るはずの退職金を、「生涯設計手当」として、前もって受け取っているにすぎないため、退職金の前払い分については算定対象外。企業型確定拠出年金についても、その原資として退職金の前払い分が充当されているのであれば、算定対象外。
ただし、原資が前払い退職金であったとしても、例えば以下の性質ア~ウをいずれも具備している場合等については企業型確定拠出年金の掛金運用額及び掛金運用額を除いた額(前払い退職金として給与と合わせて支給される額)の合計額が賃金算定の対象となり得るため、本解釈を準用したい場合には、適宜本省宛てに照会されたい。
A:企業型確定拠出年金の掛金運用額、B:掛金運用額を除いた額(前払い退職金として給与と合わせて支給される額)とした場合
アBが給与所得として、課税対象となっており、所得悦、住民税がかかるほか、社会保険料の標準報酬の算定に含まれ、かつ、雇用保険法上でも賃金として取り扱われていること
イA及びBの合計額が昇給額、残業代、賞与及び退職金等の算出基礎額になることが就業規則等に明記されていること
ウA及びBの合計額が実費補填、毎月変動する性質のものでないこと等
なお、上記イの算出基礎額にAが含まれていない場合は、Bのみ賃金算定の対象とすること。
3.なぜ、誤認してしまうのか?
では、生涯設計手当については表向きの助成金パンフレット、Q&A等に記載がなく取扱いがわからないこと。
4.対応策等
[結論] キャリアアップ助成金正社員化コース受託時に生涯設計手当があるかを確認すること。
生涯設計手当があった場合には、
その生涯設計手当は、給与所得として、課税対象となっており、所得悦、住民税がかかるほか、社会保険料の標準報酬の算定に含まれ、かつ、雇用保険法上でも賃金として取り扱われている。また、昇給額、残業代、賞与及び退職金等の算出基礎額になることが就業規則等に明記されている。ことを確認すること。
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